渡邊光也 個展
「内なる消失点」
タイトル:内なる消失点
期間:2024年11月
11月3日(日)~11月16日(土)
水曜、木曜休み
時間:13:00~18:00 (最終日は17:00まで)
ご無沙汰しております。久しぶりの個展です。
今回は自主制作ですが画集を発表いたします。
展示と合わせてお楽しみください。 http:/
渡邊光也 個展 「月に消えゆく」
この度、ギャラリー・オルテールにて個展「月に消えゆく」を開催させていただくことになりました。
ギャラリーの許可を得てネットショップも致しております。
SHOP(BASE)↓
https://itachiya.thebase.in
タイトル:月に消えゆく
場所:ギャラリーオルテール
期間:2021年10月
8日(金)・9日(土)・10日(日)・15日(金)・16日(土)・17日(日)
時間:13:00~19:00 (最終日は17:00まで)
ステイトメント:
月に消えゆく
馬が目の前にぶら下がるニンジンにではなく…夜空にたゆたう月に向かうように…
画家にとって月とは描く対象の「本質」のことである。それは「みてくれ」という目の前のニンジンとの距離をはるかに超えた次元に位置する。
画家の「本質」はイデアへの熱望とし、古来からあった。描く対象を写実することはまさに「本質」を捉える試みだった。写真技術が発展してからは、その描く対象が内面性へと移行し、現在にも続いている試みである。
しかしこんな見解もある。「本質」という概念は幻想であり、確固たる質は存在しえないと。確かに対象の「本質」は見る者によって変わり、その質はとりとめの無いもののように思えてならない。人間という対象、その存在意義もAIが発展していても、それは未知の領域である。その意味で我々は自由であり、同時に荒野に放り出されたようなひ弱な存在であろう。
それでも我々は荒野の中を歩み続ける。いや、この歩みですら幻想なのかもしれない。しかし確信できるのはこの月という何処かへ、向かいたいという欲求があるということである。
八幡なつみ
末っ子の天使のニュルは、昔から手のかかる子だった。やんちゃで好奇心が旺盛。いつも上の子に質問しては、皆を困らせた。だから天使のニュルが最後のラッパ吹きに任命された時、皆もたいそう心配した。そんなことにはおかまなしで、ニュルといえば自分がラッパを吹く番まで退屈そうにしていた。
兄弟姉妹の天使たちは日夜、人間たちの行動を帳簿につけるのに大忙しだった。誰もニュルの相手をしてくれないので、つまらなさそうにラッパを眺めていた。それこそ何百年とそうしていた。そしてついに辛抱できなくなったニュルは地上に降りることにした。
地上では何もかもがめまぐるしく、せわしなかった。朝日とともに人の波がどっと押し寄せては、暗闇と共に散ってゆく。ニュルはびっくりして降りてきた場所に、しばらく立ち尽くしていた。ニュルが一番に驚いたのは人間の数だった。小さなアパルトマンの入り口から蟻塚のように出てきては、列車にこぼれ落ちそうになるほど乗る人々。そこでニュルは思った。みんな何をしてるんだろうって。
一方で人間たちは、全てを手に入れようと思わんばかりに、買い物をする淑女たちは奪い合い。仕事場の紳士たちはいがみ合う。子供たちは喧嘩してばかり、赤ん坊は泣いてばかり。
やがて夜が来て、皆寝静まるとやっと一息。ニュルは思った。何事にも万能なお父様はなんで人間を創ったのだろう、と。そこで教会の司祭に聞きに行くことにした。
司祭はこう言った。
「それはね、ニュル。人間を試されているからなんだよ。それもね、お父様の御心のままになるようにね。だから我々は正しい行いをしなくちゃいけないのだよ。今の人間のように沢山の悪いことにうつつを抜かしていては駄目なんだよ」
「だけど司祭様、なんで人間をお父様は試されているのですか?」
「それはね、ニュル。人間の信仰を試されているからだよ」
「だけど司祭様、なんで人間の信仰を試されているのですか?」
「ニュル。どんな試練にも耐えることを、証明するためだよ」
「だけど司祭様、それならなぜ試練に耐えられない人間が多いのですか?証明したいのなら初めから試練に耐えられる人間をお創りになればいいのに……」
「ええい、不信心者。あっちへ行け」
そう言うと、司祭はニュルを教会から追い出した。ニュルは肩を落とし、トボトボと街へ帰って行った。
街は相変ず混沌としていた。看板たちがペンキの臭いを発し、マネキンたちが人々を誘惑していた。パンを盗んだ子供を酷く叩く大人たちもいて、ニュルはもう何が何だか分からず、とうとう泣き出してしまった。可哀想なニュル、でも誰もが知らないふりをした。
しばらく泣いていると、ニュルの横に一人の少女が座っているのに気がついた。ニュルより少し小さい子だったが、その子は優しくニュルに話しかけた。そしてニュルの話を、ずっと黙って聞いていた。少女はこう言った。
「どんなお父さんか知らないけど、勝手な人だね。でもきっと寂しがり屋なのよ。だから時々話しを聞いてあげるといいよ。私もそうしてもらうと嬉しいもの」
するとなぜだかニュルは元気になった。
「分かった。ありがとうね。帰ったら早速、そうすることにする」
「うん、気をつけてね。またなんかあったらお話しよう」
そう言って二人は別れた。
天上に帰ったニュルは早速お父様に会いに行った。しかしお父様には会えず、今や天上の天使たちはざわめき合っていた。いよいよ最後の審判の日がやって来たのだ。兄弟姉妹の天使たちは甲冑を着て戦いに備えている。ニュルもいよいよラッパを吹かなくてはならない。
第一のラッパが響きわたると、大地に火が放たれ、
第二のラッパが響きわたると、海が血の色に染まった。
第三のラッパが響きわたると、川の水が汚れ、
第四のラッパが響きわたると、地上は暗闇に覆われた。
第五のラッパが響きわたると、イナゴが作物を食い荒らしはじめ、
第六のラッパがいよいよ、不吉に響きわたった。四騎士が地上に放たれたのだ。そして地上に放たれた四騎士は支配と戦争、飢餓、疫病を蔓延させていったのだった。
ニュルはいよいよ怖くなった。最後の審判がこんなにも恐ろしいものだとは思っていなかったのだ。そしてふと、ニュルはあの時に慰めてくれた人間の少女のことを考えた。なんでお父様はこんなことをするのだろう?これも試練だと言うのか。ニュルは少女のことが心配だった。
そしてニュルは気がついた時にはもうその場にはいなかった。
ニュルは地上に降りたち、そして少女を探した。地上は混乱していた。人々は飢えて病に伏し、奪い合い、殺し合い、おおよそこの世界で見れるあらゆる残虐な行為がなされていた。街の路地裏には人が山のように重なり、死んでいた。死体から金品を盗み、髪の毛までむしり取っているのが見えた。
ニュルの心配は当たっていた。少女は案の定、病に伏していた。息も絶え絶えで、薄い胸板でかすかに呼吸していた。ニュルは死にそうな少女の手を取っていた。そして優しく言った。
「大丈夫。なんとかするから……」
ニュルは次の瞬間、空高くに舞い上がり噴火する山の頂きに向かった。ニュルは今から自分がすることが恐ろしくてならなかった。鼓動が高鳴り、張り裂けそうだった。それでも必死で翼を羽ばたかせた。
山の頂からは黒い煙が立ちのぼっていた。火口では赤黒い溶岩がうねり、まるで怪物のようにうごめいていた。その怪物は火を吹き出して威嚇してくかのようだった。怯むニュル。ニュルは自分の本来の役目、天使であることの意味を問うた。しかしそんなことは、もうどうでもよかった。ニュルには守りたいものがあった。
そして意を決し、ニュルは自分のラッパを火口に投げ捨てた。これで終末を告げる者はいない。と……。
空が破れる。雷鳴がニュルを撃つ。そしてニュルは堕天した。誰に対してもなく祈りながら……。
ニュルは悪い子だったのだろうか?だけどニュルがした自己犠牲のことはきっとお父様は知っている。
沈黙の天使
渡邊光也 個展
今年も、ギャラリーオルテールで個展をすることになりました。
今回も前回に引き続き「純潔のイヴシリーズ」となり、一つの物語を大きく取り上げました。
コンセプトは善き行いについての、考察となります。
お楽しみ頂ければ幸いです。
タイトル:沈黙の天使
会場:ギャラリー・オルテール
日程:2020年11月6.7.8.12.13.14日
開場: 13:00~19:00(最終日は17:00まで)
日程変更
少女標本
渡邊光也 個展
この度、画廊珈琲・Zaroffにて個展をすることになりました。
今回の展示は今までのコンセプトとは違い、実際に小説を書き、イメージを膨らませたものとなります。小説を読みたい方は下にスクロール!
濃厚な展示をお楽しみください。
※この度、コロナウイルスの影響を受け、開催日程が変更となりました。
また緊急事態宣言が長引くようですと、予約制の入場となります。
販売はZaroffのHPからでも致しますが、公平にするために抽選による販売になることがあります。
皆様のご健康をお祈りしております。
タイトル:少女標本
日程:2020年5月21日(木)~26日(火)
開場: 13:00~17:00
純潔のイヴ
渡邊光也 個展
この度、ギャラリー・オルテールにて個展をすることになりました。
日本では久しぶりの個展となります。
個展ですので、自分独自の空間を作ろうと思います。
濃厚な展示をお楽しみください。
タイトル:純潔のイヴ
日程:2019年9月6日(金)7日(土)8日(日)、12日(木)13日(金)14日(土)全6日間
開場: 13:00~19:00(最終日17:00まで)
★:日程がまばらなのでお気を付けください。